地積測量図の基礎知識|見方・使い方・取得方法を解説

地積測量図とは?取得方法や見方をわかりやすく解説

地積測量図(ちせきそくりょうず)とは、土地の面積や隣接地との境界を明確に示した図面で、土地の売買や相続、境界トラブルの防止などに役立ちます。この記事では、地積測量図の役割や見方、ほかの図面との違い、取得方法まで、初めての方にもわかりやすく解説します。

弊所は「宅地建物取引業」の免許を取得しており、
行政書士業務と併せて事業を行っております。

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地積測量図とは?

地積測量図とは、土地の面積(地積)や隣地との境界を測量した結果を示す図面です。不動産の登記制度に基づき、法務省令の定める形式で作成されます。

もともとは、土地の税金管理(旧・土地台帳制度)と所有者情報の管理(登記制度)を一本化するため、1960年(昭和35年)の不動産登記法改正によって、地積測量図が導入されました。

この図面は、次のような場面で作成されます。

  • 土地を分けるとき(分筆登記)

  • 登記簿に記載された面積を訂正するとき(地積更正登記)

  • 登記簿のない土地を新たに登記するとき(表題登記)

 

ただし、これらの登記が昭和35年より前に行われていた場合や、登記自体がされていない土地には、地積測量図が存在しないこともあります。

地積測量図の精度は作成時期によって異なる

地積測量図の精度は、作成された時期によって大きく異なります。これは、土地面積の正確な把握が重視されるようになったことや、測量技術・印刷技術の発展に伴い、不動産登記法が何度も改正されてきたためです。

たとえば、1993年の法改正では、境界標(隣地との境界を示す基準点)の記載が義務化され、測量の精度が向上しました。加えて、コンピューターやプリンターの普及により、正確な計算や図面作成が可能になりました。

さらに、2005年の改正では、土地を分ける際に「全筆求積」が義務付けられ、分けた土地と残りの土地すべてについて新たに地積測量図を作成する必要が生じました。

このように、新しい地積測量図ほど信頼性が高い傾向にあります。一方、昭和期以前に作成された図面は精度が不十分な場合もあるため、内容だけでなく作成日もしっかり確認することが大切です。

確定測量図・現況測量図・公図との違い

地積測量図と似た用語として、「確定測量図」「現況測量図」「公図」がありますが、それぞれ役割や精度が異なります。違いを知っておくことで、状況に応じた正確な資料を活用できます。

1,確定測量図

確定測量図は、全ての隣地所有者の立ち会いのもと、境界を正式に確定して作成される図面です。内容は地積測量図とほぼ同じですが、法的に境界が確定された証明となる点が大きな違いです。

そのため、土地の正確な面積が求められる売買や開発行為の際に重視されます。
作成は土地家屋調査士に依頼し、費用は一般的に35万~80万円程度かかります。金額は土地の広さや周辺の状況によって変動するため、売却時の資金計画に含めておくと安心です。

2,現況測量図

現況測量図は、塀やフェンスなど現地の物理的な境界をもとに面積を測定した図面です。境界線を正式に確定する目的ではなく、建物の建築や相続税評価のために使われます。

隣地所有者の立ち会いや承諾が不要なため、法的な効力はなく、土地売買には通常使われません
作成には土地家屋調査士への依頼が必要で、費用は10万〜20万円以上が一般的です。用途や予算に応じて作成を検討しましょう。

3,公図

公図(こうず)は、登記所(法務局)が保管している、土地の位置や形状を簡易的に示した図面です。
土地の境界や面積を正確に示す図面ではありません

そのため、公図はあくまで参考資料として使われ、土地の境界確認や正確な測量には適していません
ただし、不動産取引の初期段階で周辺の土地との関係を把握したり、法務局で取得できる手軽な図面として活用されます。

必要な場合は、法務局の窓口やオンライン(登記情報提供サービス)で1筆数百円程度で取得可能です。

地積測量図が求められる主な場面

地積測量図が必要となる代表的なケースは、次の3つです。

  • 土地を売却するとき

  • 土地を分ける際の「分筆登記」をする場合

  • 登記されていない土地を新しく登記する場合(表題登記)

それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。

1,土地を売却するとき

土地を売却する際には、地積測量図の提出が求められることがあります。買主に対して土地の正確な面積や境界を示すためにも、準備しておくことが望ましいでしょう。
また、相続によって土地を取得する場合も、将来的な売却や分割を見据えて、地積測量図を確認・保管しておくと安心です。

2,土地を分ける際の分筆登記

相続や売買の過程で、ひとつの土地を複数に分ける場合は「分筆登記」が必要です。この手続きを行う際には、分ける土地の面積や境界を正確に示すために、地積測量図の提出が求められます。登記手続きがスムーズに進むよう、事前に準備しておきましょう。

3,登記されていない土地を新しく登録する場合(表題登記)

たとえば、国から払い下げられた土地や、これまで一度も登記されたことのない土地を新しく登録(登記)するには、「表題登記」という手続きが必要です。このとき、土地の広さや境界をはっきりさせるために、地積測量図の提出が求められます。

とはいえ、今ではほとんどの土地がすでに登記されているため、この表題登記が必要になるケースは少ないのが現状です。

地積測量図の取り方(取得方法)

地積測量図は、その土地の持ち主でなくても、誰でも手に入れることができます。ここでは、「どうやって手に入れるの?」という方のために、具体的な方法をわかりやすくご紹介します。

1,法務局での取得方法

地積測量図は、法務局の窓口で手に入れることができます。
以前は、その土地を担当している法務局まで行く必要がありましたが、今では最寄りの法務局でも手続きができるようになっています。

手続きの流れはとてもシンプルです。
窓口で申請用紙に必要な情報を記入し、1筆(ひとふで)あたり450円の手数料を支払えば完了です。手数料は「収入証紙」で支払いますが、これは法務局内で買えるので、あらかじめ用意しておく必要はありません。

2,インターネットで申請する方法

「法務局に行く時間がない」「窓口で待つのが面倒」という方は、オンラインでの申請が便利です。

自宅やスマホから、「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと・供託ねっと)」にアクセスし、「かんたん証明書請求」という機能を使えば、ネット上で地積測量図の請求ができます。手数料もインターネットバンキングなどで支払うことができ、わざわざ出向く必要がありません。

オンライン申請のメリットは以下の通りです:

  • 朝8時30分〜夜21時まで申請可能(仕事終わりでもOK)

  • 法務局の窓口で並ぶ必要なし

  • 自宅まで郵送してくれる

 

パソコンやスマートフォンの操作に慣れている方なら、こちらの方法がおすすめです。

地積測量図の見方:どこに何が書いてあるの?

地積測量図には、土地の面積や境界に関する情報が細かく記載されています。不動産登記規則という法律で、図面に書かれるべき内容が決められており、主な記載項目は次のようなものです。

  • 地番・所在地:どの土地を示しているのかが分かる情報

  • 境界標の表示:境界に杭(くい)やプレートがある場合、その場所が記されています

  • 測量年月日:いつ測量されたか(新しい方が精度が高い傾向あり)

  • 縮尺:図面上の長さと実際の長さの比率(たとえば1/500など)

  • 求積表:どんな計算で土地の面積が出されたかを示す表

  • 方位:どちらが「北」かを示す印(これがあると地図と照らし合わせやすい)

 

法務局などで取得できる地積測量図を見ると、こうした情報がすべてひと目でわかるようになっています。

出典;盛岡地方法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/morioka/static/33zumen.html

地積測量図は、土地の境界や面積を正確に把握するうえで、とても大切な書類です。普段あまり目にすることはないかもしれませんが、いざというときに正しく理解し、活用できるよう、基本的な見方や取得方法を押さえておきましょう。
もし、ご自身で確認するのが不安な場合は、専門家に相談するのも一つの方法です。土地に関する手続きでお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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